Shared Decision Making(SDM:共有意思決定、共同意思決定)
世の中の殆どの事象には常に二面生、表と裏がありますが、医療の世界も同じで、所謂メリットとデメリットが常に存在します。例えば、手術には患部を取り除いて疾患を治癒させる作用がありますが、一方身体にはどうしても傷痕が残ります。また、薬剤には劇的に疾患を改善させる効果がありますが、同時に強い副作用が現れることもあります。これらのメリット、デメリットについては事前に医師や医療専門職とよく相談してリスクと利益を十分に理解して医療介入を決定する必要があります。
Shared Decision Making(SDM:共有意思決定) とは、医療の分野において患者と医療提供者が連携し、治療やケアに関する意思決定を共同で行うプロセスです。SDMでは、患者が自身の価値観や優先事項を理解し、医療オプションに関する情報を適切にしっかりと提供された上で、医療提供者と協力して最適な治療計画を策定して行きます。このSDMは特に生殖医療、不妊治療の分野で重要視されるべき手法と考えられます。不妊治療は夫婦(男女)というユニットでの治療になり、其々の年齢、男性側の要因、女性側の要因とも多岐に渡ります。また仕事と治療の両立、経済的負担などの要因も大きく関わってくるため、そのユニットに最適な治療方法は千差万別であり、最適な方法を選択するためには患者、医療者双方による詳細な擦り合わせが必須となります。また不妊治療は他の治療と異なり、1回の治療の成功率が高々30〜40%という特殊性もあり、だからこそ患者さんも医療者側も双方の意思を共有して納得の行く方針を立てて治療に向かって行きたいものです。