診察内容
問診、超音波検査、血液検査、精液検査、卵管検査、子宮鏡検査などを行い、ご夫婦の状況に合わせて治療方針を相談しながら決定していきます。
検査結果やこれまでの経過を確認します。
タイミング療法、人工授精、ARTなどを検討します。
結果やご希望に合わせてステップアップを相談します。
診察・検査で確認すること
女性側の検査
超音波検査、血液検査、卵管検査、子宮鏡検査などで、排卵や子宮・卵管の状態を確認します。
男性側の検査
精液検査などで、精子の数・運動率・状態を確認します。治療方針を決めるうえで大切な検査です。
ご夫婦での相談
検査結果、年齢、治療歴、ご希望をふまえ、無理のない治療方針を一緒に考えていきます。
原因・状態別の治療方針
不妊症の原因や体の状態により、適した治療は異なります。代表的な状態と治療の考え方をまとめています。
排卵障害
排卵障害には大きく分けて、卵子はあるものの排卵が起きにくいタイプと、卵巣内の卵子の残り数が少ないために排卵が起きにくいタイプがあります。
① 卵巣内の卵子は潤沢にあるが、排卵が起きにくいタイプ
一般的に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOs:Polycystic ovarian syndrome)がこのタイプになります。排卵まで長い日数がかかったり、定まらなかったり、年に数回しか排卵しなかったり、全く排卵が見られない場合もあります。
一人目を普通に妊娠・出産されてまだ比較的若い(35歳未満)のに二人目がなかなかできないという方の場合、PCOsもしくはPCOs様卵巣であることもあります。
② 卵巣内の卵子の残り数が少ないタイプ
年齢に比べて卵子の残存数が少ない場合や、高齢により卵子の残存数が少なくなっている場合、排卵が不規則または無排卵となることがあります。
POI(Premature Ovarian Insufficiency:早発卵巣不全)は、40歳未満で残存卵子数の極端な減少と無排卵または稀発排卵を伴う状態を指します。無月経が続き妊娠を希望されている場合は、早めの専門クリニック受診をおすすめします。
PCOsと排卵誘発について
月経が開始した時点で、脳の下垂体から卵胞を発育させるFSH(Follicular Stimulation Hormone:卵胞発育ホルモン)が分泌されます。PCOsでは卵巣の表皮が厚い・硬いなどの理由で卵胞発育のスイッチが入りにくいと考えると分かりやすいかもしれません。
このスイッチを入れる後押しをするために、内服薬(クロミッドなど)や注射製剤の排卵誘発剤(HMGなど)を使用します。
ただし、PCOsでは複数の卵胞が育つことがあり、HCGを使用すると多胎妊娠やOHSS(Ovarian HyperStimulation Syndrome:卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高くなる場合があります。そのような排卵回避が続く場合や、HCGを投与しても卵胞が破れず排卵しない状態が続く場合は、体外受精/全胚凍結へ切り替えた方が安全かつ有用なことがあります。
また、クロミッドで多数の卵胞が発育したり、子宮内膜が薄くなったりする場合には、レトロゾール(フェマーラ)を使用することがあります。PCOsは妊娠の可能性は十分ありますが、排卵誘発で苦労することが多いとお考えください。
子宮内病変
子宮内膜ポリープ、子宮内癒着などがある場合は、ポリープ切除、癒着除去などの処置・手術を検討します。必要に応じて連携病院へご紹介します。
卵管閉塞
- 片側:通過している側から排卵する時のタイミング療法、人工授精
- 両側:体外受精、卵管鏡による開通術(FTカテーテル:県外へ紹介)
精子の異常
- 軽度:内服治療(漢方、ビタミンなど)
- 中等度:人工授精、体外受精
- 重度:体外受精/顕微授精
子宮筋腫・子宮内膜症
大きさや場所、年齢(卵巣年齢)、症状、治療方針によって、薬物療法や手術を検討します。
タイミング療法6回 → 人工授精6回 → 体外受精へと、段階的に治療を進めていくステップアップ方式を標準とします。
一般不妊治療
タイミング療法・人工授精までの治療
タイミング療法、人工授精までの治療を一般不妊治療と呼びます。
自然排卵、または排卵誘発剤を使用した周期で、月経開始13日目前後に来院していただき、超音波検査で卵胞の発育状況を確認します。
卵胞の発育を確認
超音波検査で卵胞が十分な大きさまで育っているかを確認します。
ホルモン値を確認
採血で卵胞ホルモン、黄体化ホルモンを測定し、卵胞成熟度や排卵日を判断します。
タイミングまたは人工授精
結果に応じて、その日にタイミングをとっていただくか、人工授精を実施します。
排卵確認
数日後に来院していただき、超音波で卵胞が消失していることを確認できれば排卵が確定します。
高度生殖医療(体外受精・顕微授精・凍結胚移植)
ARTとは
高度生殖医療は、生殖補助医療、ART(Assisted Reproductive Technology)と呼ばれる治療です。
排卵誘発を行い、卵巣にある卵胞を複数発育させ、発育した卵胞から直接卵子を採取します。体外で精子と受精させ、培養を行い、発育が進んだ胚(受精卵)を子宮の中に戻します。
受精方法と胚移植
受精の方法には、卵子に精子をふりかける媒精と、1つの卵子に対して1つの精子を直接細い針で注入する顕微授精があります。
精子の状態に問題がなければ、当院では初回採卵の場合、採取した卵子を2つに分けて媒精と顕微授精を行います。
受精卵は培養し、採卵から2〜3日後、または5日後に子宮の中に戻します(胚移植)。採卵周期の子宮の状態が移植に適していない場合は凍結し、別の周期で子宮内膜を整えたあとに融解移植を行います(凍結胚移植)。
移植しなかった胚は、凍結可能な状態になれば凍結を行います。妊娠が成立しなかった場合は、次周期以降に凍結胚の融解移植スケジュールに入ることができます。凍結胚がない場合は、再度採卵スケジュールに入ることになります。
詳しい説明を受けていただいてから進んでいただきます。ご不明な点はスタッフへお尋ねください。
動画で見る採卵・胚移植
採卵・胚移植で利用する安静室
採卵の様子(局所麻酔)
採卵の様子(静脈麻酔)
自己注射について
体外受精での排卵誘発では、スケジュールや卵巣機能などの個人差がありますが、平均で1週間前後、連日で排卵誘発剤の筋肉注射のために通院する必要があります。
お仕事をされていたり、事情があって注射の通院が困難な方には、自己注射という選択肢があります。
看護師の指導のもとで手技を習得していただき、薬剤・注射器を持ち帰り、ご自身で皮下注射を行います。通院時間、通院回数、通院距離を省略できる有効な方法です。
ご希望のある方は、スケジュールへ入る前にスタッフへお声かけください。
自己注射の手順
不育症
不育症とは、妊娠はするものの流産・死産を繰り返し、生児を得られない場合をいいます。妊娠22週未満の自然流産を連続して3回以上繰り返す場合の習慣流産も、同義語として定義されます。
当院では以下の不育症検査を行っております。
- 問診(流産の回数・週数・心拍確認の有無などの流産歴、既往歴、家族歴)
- 子宮形態(超音波検査・子宮鏡・卵管造影)
- 感染症検査(血中クラミジア抗体・膣分泌物培養)
- 内分泌検査(甲状腺機能検査・下垂体機能・糖負荷検査・黄体機能)
- 血液凝固因子
- 免疫学検査
- 夫婦の染色体検査
詳しくはスタッフへお尋ねください。
