凍結胚の移送

こんにちは、培養士のS原です。12月になりすっかり寒くなりましたね🥶
トカラ列島で地震が頻発していて色々と心配です💦

さて、今回は凍結胚の移送について少し書きたいと思います。
転勤などで引っ越しをして当院へ通うことが難しくなった場合、当院で保管している凍結胚を転院先へ移送することができます。ただし、凍結方法やデバイスの種類が施設によって違うこともありますので融解ができない場合は移送できません。
また当院への移送受け入れに関しても同様で当院での融解が可能であれば受け入れることができます。

移送の方法ですが、凍結胚はマイナス196℃の液体窒素中で保管されています❄運んでいる間ももちろんその状態で運ばないといけないので、運搬用の液体窒素タンクまたはドライシッパーという容器を使います。

ドライシッパーは液体窒素を中の吸収剤に吸着させて超低温状態を保つ魔法瓶みたいなものです。液体窒素自体は劇物となるので簡単に持ち運びできませんが、ドライシッパーだと運搬することができます。
ドライシッパーをジェラルミンケースに入れて運搬します。

中の瓶のようなものがドライシッパー本体です。当院のものはケースの高さが50cmぐらいのサイズです。

運搬方法ですが、当院から他院へ移送する場合は基本的には患者様ご自身で運んでいただきます。
もしくは凍結胚移送の専門業者に依頼して厳密な管理の下で業者さんに運んでもらうかになります。
以前は普通の宅配業者を利用することもありましたが、大事な命のもとを運んでいるということに対する安全性を踏まえて宅配業者の利用は行わないことにしました。

他院から受け入れる場合、宅配便で送られてくる場合は受け取りは行っています。移送方法は施設によって様々ですのでしっかりと説明を受けてくださいね。

患者さまご自身で運ぶ場合、ケースの重さがだいたい5kgぐらいです。飛行機や電車に載せることはできませんので、基本的には車で運んでいただきます。(電車は場合によってはOKのところもあるみたいですが基本的にはNGです)
ですので、当院からは九州圏内だとご自身で運ばれることが多いです。

凍結胚移送の専門業者については、当院から特定の業者を斡旋はしておらず、患者さまご自身で決めていただく形になります。
詳しくは移送をするとなった場合に説明させていただきますのでここでは割愛いたします。

また、移送をせずに転院先で内膜調整を行い、当院で胚移植のみ行うことも可能です。遠方に移送となった場合、移送費用も高額になる可能性がありますのでこちらの方法をとられる方もいらっしゃいます。

私個人の考えとしては、なるべく移送はせずに凍結した施設で融解・移植をしたほうがいいんじゃないかと思っています🤔
上にも書きましたが凍結・融解は施設によって大まかな工程は同じでも細かいところが違う場合があります。
融解後に何かしら問題があった場合、原因は凍結時なのか融解時なのか?と突き詰めることも難しくなります。
また、移送の際には一度保管しているタンクから移送容器へ移動しなければならず、その際どうしても一瞬は液体窒素外に晒してしまうことになります。一瞬晒したぐらいでダメージを受ける、剥がれ落ちるということはありませんがそれでも絶対とは言い切れません😔なので、培養士としては気軽に移送はお勧めしません…。

長くなりましたが、胚移送についてでした!
移送を考えている方へは詳しく説明いたしますのでスタッフへご相談ください☺